命の重さ

 

コロナ禍の中で命についても改めて深く考えさせられました。誰の命も尊く、価値の違いなどないと思っています。しかし、命は大切だけれども、守る事が大切なのではなく、命を使う事つまり生きる事。生き生きのびのび生きることが大切だと思います。

先日、YouTubeで落語会の配信を見ました。最近、落語界に集まってくるお年寄りが多いそうです。「皆様コロナ話怖くないのですか?」と聞いたところ「初めのうちは怖がっていたけれども、こんなになに長く続くと、落語会に来られる様になる前に寿命が来ちゃいそうだよ。同じ死ぬなら落語を聞いたほうが得じゃないか。」と言っておられたそうです。お年寄りの力強さを感じました。コロナ禍で自分の命を守るために家に引きこもっているだけではつまらないと思います。このお年寄りも又、命を守ることよりも、幸せに生きることの大切だと思われたのでしょう。

以前に命について教えられた事があります。ちょんまげ隊長のツンさんはご存知でしょうか?各地でボランティア活動をしている方なのですが、その一つに、ネパールの子どもたちに日本で古着になったダウンジャケットを届ける活動をしておられます。一枚の写真を見せられて「峯村先生、これが何を意味しているかわかりますか?」と聞かれました。それは抜けるような青空の山岳と子どもたちの笑顔が映っていました。「良い笑顔ですね。」と何も読み取れず答えました。しかし、良く見ると、そこに映っていた子どもたちはTシャツ姿、後ろで少しだけ映っているお父さんたちは綿入りのジャケットを着ているのです。つまり此処の標高は高く寒いと言う事です。「子どもを一番に考えられるのは豊かな状況の時で、貧しくなれば、まず守らなくてはいけない命は働き手の命。つまりお父さんの命を守れないと、一家は食べる事ができなくなるのです。」と教えられました。ショックでした。子どもを愛し、大切な気持ちは同じでしょう。しかし、現実の厳しさを考えるとその優先順位は変わってくるのです。守りたい命と、守らなければいけない命。どちらも大切な命。コロナ禍で終戦記念日を迎え色々と考えさせられました。(2021年8月)