プライド

プライド 

「もう一杯一杯でした。挑戦し切った、自分のプライドを詰め込んだオリンピックだった」演技後のインタビューで羽生結弦さんが語った言葉です。4位に終わってしまったものの、ネットのニュースを見ている限り世界の評判はとても良いようです。私も競技の事は分からないながらも録画で演技を見て、とても感動しました。なぜ彼の演技は失敗が有っても感動するのでしょうか?インタビューで彼が語った「挑戦」と「プライド」にヒントがあるように思います。オリンピック競技ですから点数がつき順位がつくわけですが、目的はそこにはなく、自分の演技の高みに対する挑戦とプライド、つまり自分との勝負をしているところに心惹かれるものがあったように思います。日本の選手がメダルを取ってくれれば嬉しいものの、この感動とは感じる種類が違うように思いました。長引くコロナ禍によって、頑張ったところで大きな流れを変える事はできない現実を思い知らされました。しかし、それは自分の思いを諦める事とは違います。周りが変わる事を望むのではなく、自分が変わることにより自分の思いに近づける事しか出来ないと思い知ったのです。思い通りに行かないという事は、自分の側にまだ改善しなければならない点があるという事だったのです。試行錯誤を繰り返し質の高い自分、或いは自分の思いを進化させなければ、うまくは行かないのでしょう。変われるもの(自分)を変えていくと、変えられないもの(周りの環境)も変わっていくのです。コロナ禍が過ぎたとしても、これからの時代は、他人の決めた目標や尺度で生きるのではなく自分で決めた評価や価値観で生きていくことが、ますます大切になってきます。慣れるまでは競争社会以上に苦しいことかもしれません。なぜならば、他人の尺度ではないので誰かのせいにする事はできないからです。全ての結果は自分の責任です。そうすると自分で考える能力、思考力がさらに重要な時代になっていくという事です。自分が自分である責任を持たなければ生きていけない時代なのかもしれません。羽生選手からプライドとは「他人の作った評価軸で生きるのをやめて自分の価値観で楽しみながら挑戦し続ける事なのだ」と教えてもらった気がしました。

2022年2月